こんにちは、
藤本モウフです。
北海道立近代美術館で開催されている、歌川国芳展に行ってきました。
江戸時代後期を代表する浮世絵師・国芳の代表作「相馬の古内裏」や「玉取り 海女と大蛸」など、話題の作品を実際に鑑賞し、その魅力と見どころをまとめました。
この記事では、展覧会の感想に加えて、「国芳・未来人説」や「ゴッホとの意外な関係」にも触れています。
これから行く方や、国芳について知りたい方の参考になればうれしいです。
- 歌川国芳とは?|江戸時代のサブカル浮世絵師の魅力
- 代表作紹介|歌川国芳の印象に残る作品たち
- ゴッホも魅了された浮世絵の世界とフランスでの評価
- フランスのおかげで浮世絵が今も残っている?
- 展覧会に行って感じたこと|歌川国芳展のまとめ
歌川国芳とは?|江戸時代のサブカル浮世絵師の魅力
歌川国芳は江戸時代後期に活躍した浮世絵師です。
武者絵・戯画・妖怪・風景画・美人画・役者絵などジャンルはさまざま。
派手な色使いや発想力でSNS映えする絵も多く、現代でも人気絵師として活躍していたかもしれません。
代表作紹介|歌川国芳の印象に残る作品たち
「宮本武蔵と巨鯨」
フライヤーにも使われているこの作品。
剣豪・宮本武蔵が巨大な鯨を退治したという伝説を題材にしています。
(映り込み防止のため、斜めから撮っています)
「讃岐院眷属をして為朝をすくふ図」
この絵は、曲亭馬琴の読本『椿説弓張月(ちんせつゆみはりづき)』に描かれた場面を題材としています。
自害しようとする為朝の前にカラス天狗が天から現れ、彼を救う場面。
白く影の薄い人たちがカラス天狗。
「玉取り 海女と大蛸」
この絵のモチーフとなったのは、「玉取姫伝説」と呼ばれる説話です。
ちなみにこの絵、葛飾北斎の春画「蛸と海女」の関連も指摘されているそう。
国芳は北斎をリスペクトしていたので関連も納得。
「蛸と海女」はBANされそうなくらい大人向けな絵なので掲載は控えます。
気になる方は各自検索してみてください、自己責任でお願いします(笑)
「相馬の古内裏(そうまのふるだいり)」
国芳といえばこれ。
国芳らしい大胆な構図に度肝を抜かれます。
一度見たら忘れられない絵ですね。
異常なまでの骨の構造の正確さから、西洋の骨格標本や解剖図を参考にしているのでは、といわれています。
「其のまま地口 猫飼好五十三疋(そのまま じぐち みょうかいこう ごじゅうさんびき)」
愛猫家だった国芳。
猫好きじゃないとこのしぐさは描けません!
猫への愛が伝わってきます。
こちらは東海道五十三次のパロディ絵で、各宿場名をダジャレに変換しています。
とはいえこのダジャレ、かなり無理があります。
「歌川国芳は未来人!?」と話題になった絵
これは拾い画ですが、この絵もありました。
記憶に新しい、歌川国芳・未来人説。
隅田川と左奥の巨大な塔の位置関係から「これはスカイツリーじゃないか?!」と話題になりました。
「正札附現金男(しょうふだつきげんきんおとこ)野晒悟助」
こちらも拾い画。
着物のドクロ柄、よく見ると猫の集合体なんです!
ここでも猫好きな一面が表れていますね。
パンクだな〜、かっこいいです。
ゴッホも魅了された浮世絵の世界とフランスでの評価
当時、浮世絵は大衆向けの安価な印刷物。
1枚の絵はそば一杯(今でいうと500円〜1000円)程度の価格。
歌川国芳は超人気ヒットメーカーでサブカル的人気絵師でしたが、芸術家として評価されているわけではありませんでした。
ところがフランスでの浮世絵の評価は大違い。
きっかけは万国博覧会での日本展示。
梱包材として輸出品に巻かれていた浮世絵を見た画家たちが
「この斬新な絵はいったいなんなんだ!?!?」
と大変驚いたそうです。
ゴッホも浮世絵に魅了されたうちの1人で、弟のテオ(画商)とかなりたくさんの浮世絵を集めていました。
パリで自ら「浮世絵展」を開催したほどの浮世絵コレクターガチ勢なんです。
一方、国芳も「西洋画こそ真の絵画」とリスペクトしており、かつて日本では使われていなかった遠近法や陰影表現を取り入れていました。
ゴッホは国芳のファンですが、残念ながら国芳はゴッホを認識しておりません。
(ゴッホが8歳の頃には、国芳はすでに亡くなっています(1861年没))
この2人がもし出会っていたら、おもしろいことになっていたかもしれませんね。
この裏話は、ゴッホの半生を描いた小説「たゆたえども沈まず」(原田マハ)を読んで知りました。
おもしろいのでオススメ。
私はフランス旅行に行く前にこの本を読んで「よーし、ゴッホの絵いっぱい観ちゃうぞ〜!」とはりきってルーヴル美術館行ったのですが、なんとルーヴルにはゴッホの絵はありません!
ショックでした......
ちなみに、オルセー美術館にはあります。
フランスのおかげで浮世絵が今も残っている?
日本よりフランスのほうが浮世絵を持っている、ともしばしば言われますが、実際は日本のほうが多く所蔵しているそうです。
それはフランスに流れた浮世絵を日本が逆輸入した過去があるからかもしれません。
とはいえ、フランスを含む欧米の方がこのお宝を守ってくれていたおかげで、私たちが目にすることができるのでしょうね。
実際、フランスの本屋に行くと浮世絵の画集が平積みされ、ポストカードも豊富に販売されています。
遠く離れた国で日本の作品がずらりと並べられている光景、なんだか不思議で誇らしい気持ちになります。
展覧会に行って感じたこと|歌川国芳展のまとめ
あまりに見応えがあり、気づけば2回も足を運んでいました。
あの時代にこれだけ自由な絵を描けたなんて、本当にすごい。
型にとらわれず、自分の描きたいことをのびのび表現する。
その自由な姿勢は、見ているこちらまで明るくドキドキした気持ちにさせてくれます。
国芳先生の生き方が心に刺さりました。
もっと自由でいいんだな。
私ももっと自由に生きていこう。
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ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
では、また次回。