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アニメ映画『ひゃくえむ。』レビュー|雨の決勝シーンに心を撃ち抜かれた

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こんにちは、
藤本モウフです。

評判がじわじわ広がっていたアニメ映画『ひゃくえむ。』。

ストーリーをまったく知らない状態で観に行きました。

感想は、

「え。やば。なにこれ。私なんで漫画読んでなかったんだろう」

です。

 

『ひゃくえむ。』は魚豊(うおと)さんが描いたスポーツ漫画。

魚豊さんといえば、『チ。―地球の運動について―』ですが、私はデビュー作である『ひゃくえむ。』を知りませんでした。

この作品は、100メートル走をテーマにした青春スポーツ漫画です。

と、言いたいところですが、これはスポ根漫画などではなく、はっきり言って哲学漫画。

勝つとは何か、走るとは何か。

努力や才能の限界にぶつかりながら、それでも走ることをやめられない人たちの物語です。

物語を2時間の尺でまとめているため、はしょってる部分もだいぶあると思います。

映画も素晴らしいので、漫画はもっとおもしろいんじゃないでしょうか。

ラストシーンのあの締め方。

いや、本当によかった。

あ...思い出し泣きしそう。

 

そして映像ですが、私は昨今のモーションキャプチャーや3Dモデルなどにどうも慣れることができません。

あの滑らかすぎる、ぬるっとした動きに「リアルなのに、絵?」と脳が混乱するのです。

脳みそが凝り固まっていて柔軟に対応できない。

「アニメは手描きじゃなければ認めん!」と言わんばかりの老害っぷりです。

 

でも、なぜかこの作品は、モーキャプっぽいのにいける。

私の脳が違和感なく処理してくれるのです。

鑑賞中もずっと不思議でしたが、エンドロールを見ていたら「ロトスコープ」の文字が。

「ロトスコープ/モデル人物」のクレジットもずらり。

ロトスコープってなんだ?

帰ってから調べました。

ロトスコープとは?

実写の役者の演技をカメラで撮影し、その映像をトレースしてアニメに変換するという技法。

へー、なるほど!

だから動きがなめらかなのに、アニメとして違和感なく観られるのか。

てかこれ、私もやったやつじゃん。

 

moufulog.com

 

この作品の見どころでもある、大雨が降りしきる高校全国大会男子100メートル決勝シーン。

この3分40秒ワンカットシーンだけで約9,800枚の作画を使ったとのこと。​

9,800枚手描きって!

作品全体でいったらどれだけの枚数になったのだろう。

私が描いた単純な線画200枚でも、相当な時間がかかってるよ。

アニメーターの方々、本当に尊敬します。

ちなみに、このシーンを観るためだけに映画館に行っても損はない、と思っています。

まじでめちゃくちゃよかった。

 

また、感情の揺らぎや不安を「体の線のブレ」で表現していたのが印象的でした。

あのぐにゃぐにゃとした線や微細な震えに、心の迷いや葛藤が映し出されています。

(余談ですがあの線を見たら、郷田マモラを思い出してしまいました。あの方は今なにを?)

 

トガシの声(松坂桃李)は最後まで誰かわかんなかったけど、小宮役の染谷将太は一発でわかるね。

小宮の第一声を聞き、(あ、染谷将太…)と思った人は多いはず。

特徴はないけど、誰にでもなれる前者。

演技力もインパクトもあるけど、いつも演者の顔がチラつく後者。

どっちがいいのか。

それでも私は、染谷将太さんの演技が好きです。

 

アニメ「ピンポン」を好きだった人もこの映画、きっと好きだと思うので観てほしいです。

そろそろ上映終了間近だと思います。

 

決勝ワンカットシーンの一部が公開されています。


www.youtube.com

 

 

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

では、また次回!

 

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